カナダ式脳科学フォニックス

カナダ式脳科学フォニックスとは?

2023年9月。

私の勤めるカナダの公立小学校の英語学習カリキュラムが新しくなりました。

英語学習を脳科学的に研究した

Science of Readingの教えに基づくより効果的な学習カリキュラムは

こどもたちの英語学習を大きくサポートしています。

カナダの小学校の生徒たちは驚異的に英語の読み書きができるようになっており、

Science of Readingのすごさを実感しています。

また、英語圏の各地からも

「Science of Reading」を実践して子どもたちの英語の読み書き力が向上したという

報告が日々あがってきています。

そんな英語ネイティブたちが受けている、

最新の脳科学に基づく学習法を日本人向けにアレンジしたものが

カナダ式脳科学フォニックスとなります。

なぜ日本の英語教育で「読めない・書けない」が起きるのか?

1. 英語は「アルファベット」を覚えても読めない言語

日本語の「ひらがな」は、文字と音が1対1で対応する透明性の高い言語です。

「あ」という文字を覚えれば、誰でも「あ」と読むことができ、

文字さえ覚えれば絵本が読めるようになります。

しかし英語は、26個のアルファベットで約44個の音(音素)を表す複雑な言語です。

文字の名前(エイ、ビー、シー)を覚えても、

単語の中での音(ア、ブ、ク)には結びつきません。

日本の小学校ではまずアルファベットの名前を教えますが、これでは英語を「読む」ことはできないのです。

2. ネイティブの子どもたちでも苦労する「読み書き」

驚くべきことに、

英語を母語としてペラペラ話すネイティブの子どもたちであっても、

自然に本が読めるようになるわけではありません。

科学的な研究によると、特別な指導なしで自然に読み書きができるようになる子どもは

全体のわずか10〜15%程度です。約60%の子どもたちは体系的な指導(Structured Literacy Approach)を必要とし、さらにそのうちの10〜20%はディスレクシア(読み書き障がい)など

特別な支援を必要とします。

カナダやアメリカなどの英語圏では、この事実に基づき、「英語は教えられなければ読めない言語である」という前提のもと、幼稚園(年中)から数年かけて徹底的に読み書きの基礎を指導しています。

3. 「丸暗記」は脳の仕組みに逆らっている

日本の英語教育で一般的な「英単語のスペルを何度も書いて、形で覚える」という方法は、脳科学的に非効率であることが証明されています。脳には単語を「写真(視覚的な映像)」として保存する辞書(Visual Dictionary)は存在しません。脳は単語を**「音の並び(発音記号)」**として記憶します。したがって、音のルールを知らないまま文字列だけを暗記しようとすると、記憶容量に限界が来て必ず挫折してしまいます。

「Science of Reading(科学的読解指導)」とは何か?

カナダ式脳科学フォニックスの根幹をなすのが、

「Science of Reading(SoR)」です。

これは、過去数十年にわたる脳科学、認知心理学、言語学の研究の集大成であり、

「人間はどうやって文字を読み、理解するのか」を解明したものです。

Scarborough’s Reading Rope(スカロボローの読解の縄編み)

SoRを象徴する有名なモデルに、

Hollis Scarborough博士が提唱した「Reading Rope」があります。

読解力(Reading Comprehension)は、大きく2つの縄が編み込まれて形成されます。

  1. 言語理解(Language Comprehension): 語彙力、文法知識、背景知識、推測力など。
  2. 語彙認識・デコーディング(Word Recognition): 音素認識、フォニックス(デコーディング)、サイトワードの自動認識など。

日本の教育は「言語理解(文法や和訳)」に偏りがちですが、

土台となる「文字を音声に変換して自動的に読む力(デコーディング)」の

訓練が圧倒的に不足しています。

カナダ式脳科学フォニックスは、この「音と文字の解読スキル」を脳に構築することに特化しています。

オーソグラフィック・マッピング(Orthographic Mapping)

脳が英単語を「パッと見て一瞬で読める(Sight Word)」

状態にするためのメカニズムを「オーソグラフィック・マッピング」と呼びます。 耳で聞いた「音(Phonemes)」と、目で見ている「文字(Graphemes)」を

脳内で接着剤のように結びつけるプロセスです。

この回路が完成すると、

熟練した読み手は初見の単語でも1〜5回出会うだけで脳に

長期記憶として定着させることができます。丸暗記とは全く異なる、脳の自然な記憶システムを利用した学習法です。

カナダ式脳科学フォニックスの「4つの柱」

では、具体的にどのようにしてオーソグラフィック・マッピングを起こし、英語脳を作っていくのでしょうか。カナダ式脳科学フォニックスには、大きく4つの柱があります。

1. 音素認識(Phonemic Awareness)〜「音」の存在に気づく〜

アルファベットの文字を見る前に、まずは「耳」だけで英語の音を操るトレーニングをします。 日本語の音は約24個ですが、英語には**44個の音素(Phonemes:言葉を構成する最小の音の単位)**があります。日本人が英語を聞き取れないのは、耳が悪いのではなく「日本語にない約20個の音を知らないから」です。

  • 音の分解(Segmenting): 「Cat」という単語を聞いて、「/k/ – /a/ – /t/(ク・ア・トゥ)」という3つの音からできていると分解する力。これが「書く力(スペリング)」に直結します。
  • 音の合成(Blending): 「/s/ – /u/ – /n/」というバラバラの音を聞いて、くっつけて「Sun」と読む力。これが「読む力(デコーディング)」の基礎になります。

この音素認識が育っていない状態で、文字だけを教えようとしても、脳は英語の音を正しく処理できません。

2. 科学的なフォニックス(Phonics)〜音と文字を繋ぐ〜

フォニックスとは、44個の「音」と、それを表す「文字(つづり)」の関係性のルールです。カナダ式脳科学フォニックスでは、「A, B, C」の順番ではなく、科学的に計算された「単語を作りやすい頻出の音」から順番に教えていきます。

  • ダイグラフ(Digraphs): 「sh」「ch」「th」のように、2つの文字で1つの新しい音を作るルール。
  • マジックE(Magic E): 単語の最後にある「e」が、手前の母音をアルファベット読みに変えるルール(例:mat → mate)。
  • 母音チーム(Vowel Teams): 「ea」「ai」「oa」など、2つの母音が並んで長い音を作るルール。

これらのルールを、体系的かつ明示的(Explicit and Systematic)に指導します。

3. デコーディングとエンコーディング〜読み書きの実践〜

ルールを知っているだけでは英語は読めません。知っている音を「くっつけて読む(デコーディング)」、聞こえた音を「文字に変換して書く(エンコーディング)」という脳の操作訓練が必要です。

  • 読む(Decoding): 文字を見る → 音に変換する(/m/ /a/ /p/) → 音を合成して単語にする(map)。
  • 書く(Encoding): カナダ式では「Tap it, Map it, Graph it」という手法を使います。単語を聞いたら、まず指を折って音の数を数え(Tap)、マス目を用意し(Map)、そこに音に対応する文字を書き込みます(Graph)。これにより、「エム・エイ・ピー」と暗記しなくても、音からスペルが論理的に導き出せます。

4. シラブル(音節)のルール〜長い単語の攻略法〜

小学生や中学生になり、「January」や「Fantastic」のような長い単語(多音節語)が出てくると、途端に書けなくなる子どもが続出します。これを解決するのが「シラブル(Syllables:音の塊)」のルールです。

英語には6つのシラブルタイプ

(Closed, Open, Magic E, Vowel Teams, R-controlled, Consonant-le)があります。

例えば「September」は「Sep – tem – ber」と3つのシラブルにナイフで切るように分解できます。一つ一つのシラブルは簡単なフォニックスのルールでできているため、

ルールさえ知っていれば、どんなに長い単語でもパズルを組み立てるように書くことができるのです。


従来の指導法との決定的な違い

①「サウンドウォール(Sound Wall)」の活用

従来の教室には「A to Z」のアルファベット表が貼ってありますが、カナダ式では「サウンドウォール(音の壁)」を使用します。これは文字順ではなく、「唇を閉じる音(p, b, m)」「舌を歯に挟む音(th)」「喉の奥から出す音(k, g)」など、口の形や音の出し方で44音素を分類した表です。 子どもたちは「文字」を探すのではなく、「自分の口が今どんな形をしているか」から正しいスペルを導き出します。これにより、日本語にはない「LとR」や「SとTH」の違いも、耳ではなく「口の筋肉の動き」で明確に区別できるようになります。

②例外の単語も丸暗記しない「ハート・ワード(Heart Words)」

英語には「said」や「the」など、

フォニックスのルール通りに読めない単語(サイトワード)が存在します。

従来は「これらは例外だから全部丸暗記しなさい」と指導されてきました。 しかしカナダ式では、例外的な単語も丸暗記しません。

例えば「said(言った)」という単語は、最初(s)と最後(d)の音はルール通りです。真ん中の「ai」だけが「エ」と発音される例外です。

そこで、この例外の部分だけにハート(❤️)マークをつけ、「ここだけはハート(心)で覚えよう」と指導します。 単語の9割はルール通りであり、

例外部分だけをピンポイントで覚えるため、子どもたちの暗記への負担が劇的に減少します。

③多感覚アプローチ(Multi-sensory Approach)

座ってノートに書くだけの学習は行いません。

指を折って音の数を数える、粘土を潰しながら音を区別する、アルファベットのタイル(文字ブロック)を動かして単語を組み立てるなど、視覚・聴覚・触覚・運動覚をフルに使って脳にアプローチします。これは、特に発達に凹凸がある子どもたちや、

ディスレクシアの傾向がある子どもたちにとって、極めて有効な学習法です。

カナダ式脳科学フォニックスがもたらす「未来」

このメソッドで学んだ子どもたちには、劇的な変化が訪れます。

  1. リスニング力の爆発的向上: 「自分が正しく口で作れる音・認識できる音は、確実に聞き取れる」という言語の原則により、まず最初にリスニングテストの点数が跳ね上がります。カタカナ英語のフィルターが外れ、ネイティブの音がそのまま脳に入ってくるようになります。
  2. 単語の暗記時間が半分以下になる: 「100回書いて覚える」という苦行から解放されます。音と文字のルールが脳にマッピングされているため、1〜2回正しく読み書きするだけで、脳に長期記憶として定着します。中学生からは「単語を覚えるのが圧倒的に楽になった」という声が多く寄せられます。
  3. 初見の単語・文章が自力で読める(多読への移行): ルールを知っているため、初めて見る単語(あるいは意味を持たない非語であっても)を自力で発音して読むことができます。自力で読めるようになると、子どもは自ら英語の本を読むようになり、読書を通して自然に語彙を増やしていく「自動学習エンジン」を手に入れます。
  4. 「できた!」という自信と英語への意欲: 「自分は英語ができない」と思い込んでいた子どもたちが、ロジカルなルールを知ることで「なんだ、そういうことだったのか!」「パズルみたいで面白い!」と気づき、英語を学ぶ楽しさを取り戻します。

「カナダ式脳科学フォニックス」は、単なる発音矯正メソッドでも、

お遊戯的な英語遊びでもありません。最新の脳科学に基づき、

人間の脳が文字を読み書きするメカニズムに最も適した形で、

「英語のOS(基本ソフト)」を子どもたちの脳にインストールする体系的なプログラムです。

日本の英語教育が抱える「単語量の増加」「難化する読解問題」という課題に対し、丸暗記という力技で立ち向かうのはもはや限界を迎えています。

「音」に気づき、「文字」と結びつけ、「ルール」を使って論理的に読み解く。 この科学的アプローチを取り入れることで、英語が苦手な子どもから、さらに高みを目指す子どもまで、全ての学習者が「英語を自分の道具として使いこなす」という真のゴールに到達することができるのです。カナダ式脳科学フォニックスは、日本の子どもたちの英語学習の未来を明るく照らす、確かな羅針盤となるでしょう。

カナダ式脳科学フォニックスが目指すのは

・丸暗記式の英語学習を卒業してひらがなを読むように英語が読めるようになること
・英単語のルールを知り効率的に学ぶこと
・脳科学に基づく英語学習でラクに英語を学ぶこと

子どもたちに脳科学に基づいた指導法で

効率的に、かつ確実に効果感じてもらえるプログラムです。

カリキュラムのスケジュール

カナダ式脳科学フォニックスは週1回で進めると3年で終わるカリキュラムとなっています。

対象年齢は4歳からです。(アルファベットを覚えている必要はありません)

英語の勉強が難しくなる中学生までにすべてのカリキュラムを終えることが

理想ですが、大人の方にも通用するプログラムとなっています。

講座の内容には、

耳だけで音をつなげる・分ける「Phonemic Awareness」のレッスン、

音素の理解、ディコーディングの練習、ブレンディングの練習、

読み書きのルールに当てはまらない単語の覚え方、

ディコーディングテキストを読む練習などが含まれます。

※レッスンとは別に過程でラズキッズ(英語の本が読み放題のアプリ)にて家庭学習をしていただくことを推奨しております。

レッスンについて

レッスン形式は認定講師によって異なります。

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